21日



 「必要とし必要とされること」それ自体が本来の意味の「社会」であって、社会はもともとあるものというより、生きている個人によって何度も何度も発明され実感されるアイデアである。社会は巨大な会員制クラブではない。社会はイコール市場でもない。(必要とし必要とされることを、「需要と供給」だとか、いちいち無理して言い換えなくてよい。そんなに分かりやすいものじゃないんだから。)だから皆の給料がどんどん下がっていっても(あるいは全然上がらなくても)、それは事務的な問題として冷静に対処し、周囲と協力してカタを付ければよい。つまりあなたは存在論的不安を感じなくてよい。あなたは生まれてから死ぬまで、かならず必要としているし必要とされている。これは励ましではなくて結論だ。