24日/23日
昨夜、高校のときの友達から電話がかかってきた。彼の声を久しぶりに聞いた。
記憶にあった声より低かった。トーンとかではなく、声そのものからやさしさが感じられた。
これから井手くんちに飲みに行くところだけど行かない? という誘い。
行きたかったけど、まさに今から高校の先輩の新居に遊びに行くところで、
笹塚の駅に着いたばかりだった。夜の10時半を過ぎていた。
「会いたいけどまた今度、すぐに」と言って断った。本当に会いたいと思った。
「大丈夫です」女は目を上げずに言った。「良い妻になります。彼もわかっているはずです」
男はうなずき、「はい」と言った。
神父は女の話しぶりがたいへんまじめなので感心した。女は自分を今まで支えていた力が、
自分からわきにいる男へと移っていくのを感じていた。未来はこの男にかかっている。
(フランク・オコナー「あるところに寂しげな家がありまして」阿部公彦訳)
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“女は自分を今まで支えていた力が、自分からわきにいる男へと移っていくのを感じていた。”
っていう一文がすごい。