20日 日曜の夜


 フランク・オコナー短篇集(岩波文庫)をふと買って、
 はじめて読むフランク・オコナーに感銘を受ける。
 冒頭の短篇「ぼくのエディプス・コンプレックス」の語り手の男の子の、
 一人で朝の時間を堪能し、かつ持て余してる感じとか、
 やわらかさや硬さ、暖かさや光や匂いに対する感度、
 喋ることの全能感みたいなのが、おどろくほど克明に書いてある。
 語っているのは間違いなく大人である著者で、語りには構造が必要だから
 それは成長して家族以外の言語を身につけないと語れないんだけど、
 細部の手触りは子どもの五感で立ち上がってくる。