■
(写真とは関係ない話)
NHKのドキュメンタリーを実家で見ていて。
南アフリカへ流入しつづけるジンバブエからの移民についての話のなかで、
移民たちが、半ば廃ビルと化した建物に「不法占拠」「違法占拠」している
というナレーションが繰り返し出てきて、そのあと、移民たちを強制的に退去させる
雇われ自警団みたいな人たちによって家財道具をすべて外に投げ出されて、
そこに住んでいた移民の女性が「南アフリカは移民にとって楽園だって聞いてたけど、
ひどすぎる!」って訴えていた。
「南アフリカ政府が、安い移民の労働力をこき使って経済成長するために、
国の経済が破綻している隣国ジンバブエから無制限に移民を入れる政策をとり始めた」
という状況説明から始まったドキュメンタリーであるにもかかわらず、
いつ暴力的に排除されるかも分からない廃ビルで暮らさざるを得ない大量の移民たちを、
端的に「不法占拠」「違法占拠」「中では麻薬の売買も・・・」みたいなナレーションで
制作者が語っちゃうところがすごくて、南アフリカ政府と同じスタンスで彼ら移民を見ている、
と思われても仕方ない。ジンバブエの貧しい移民夫婦に密着してる取材なのに、その神経がすごい。
意図的にそうしてるわけではない、むしろ第三者としての中立的な視線を保とうとしているが故の
「間違ってない」ナレーションなんだと察することはできるけど、
(だからといって、移民女性の悲痛なインタビューを入れるだけで中立になれるわけじゃない)
それはこの場合、ただ思想的に怠惰なだけ、ただ言葉に対する想像力がないだけで、
悲しいことにそれによって、結果として強者の視線と一致していく。
「違法」「不法」という時の、南アフリカの「法」に対する視線が、
南アフリカ政府と一致していたら意味ないじゃんと思う。外国人としてそこにいる意味がない。